2012年12月9日日曜日

転職の話 - 其の二、LinkedIn編

前回の投稿ではヘッドハンターとの付き合いと職務履歴書のメリットについて書いた。今回はビジネスSNSとして日本でも徐々に広がっているLinkedInについて。先に結論から書いておくと私の転職はLinkedInで先方のリクルーターからコンタクトを受け面談、オファーを受ける事となった。

これだけだと転職にはLinkedInが最適と言う印象を与えかねないが、それは結果であって、ポイントはそこでは無い。

LinkedInについては昨年の6月にも簡単に書いた。ずっと前からやっていた気になっていたが1年半程度の話だった。しかもこれは本格的に始める前の事。この過去の投稿後、自身のレジュメをきちんとさせたのは転職活動の事が念頭にあったからだが、使い勝手の良さは海外のビジネスネットワークをきちんと充実させる事が出来たからだった。欧米の取引先は定期的に転職するので名刺は大して役に立たない。それよりもこのようなSNSで繋がっておく方が圧倒的に便利なのである。Facebookを通じて個人的な投稿を共有する程、親しくも無いが、繋がりは維持しておきたい。そんな相手とはLinkedInが便利である。

プロフィールは自由に書ける。私は英語で職務履歴を簡単にまとめ、それ以外にも通常の職務履歴に書かないような活動内容(英訳本の存在、NYでの道場/非営利団体の運営経験など)も記載した。前回も書いたが、職務履歴書は自分のこれまでのキャリアを客観的にまとめるのに最適である。もう一つお勧めなのがリコメンデーション、推薦文である。日本ではあまり使われないかもしれないが、アメリカでは一般的。社内の人間や取引先に書いてもらう事で職務履歴書の内容に第三者の裏付けが得られる訳である。LinkedInだと正式なレター形式である必要は無く、公開、非公開を自由に設定出来るので便利。私の場合、全て英語だが、自分から頼んでNY時代の上司の他、アメリカの取引先にも書いてもらった。

もちろんヘッドハンターからのコンタクトもある。それは適当にこなせば良い。面白い案件なら話せば良いし、関心が無ければ断るだけの事。私の場合、業界的に高確率で案内してくる案件があったので、活動後半はコンタクトしてきたヘッドハンターに、「XXXやYYYの案件であれば結構です」、と牽制球を投げる事が習慣となっていた。その他には全く転職と関係無いビジネスの話でコンタクトもある。業界間のコンサルテーションと言う事で話を受け、バイト代わりに一度やってみた事もある。

もう一つ大きな役割が相手方の企業と担当者を調べるのに便利と言う事。例えば次の面談の担当者の名前が分かればGoogle、Facebook、LinkedInで検索する。就職サイトで個人SNSでの投稿内容が原因でクビになったり内定取り消しになった人間の話が定期的に紹介されるが調べるのは企業側の特権では無い。顔を合わせての面談でも役に立つが、Skypeやその他の電話面談など(先方が海外だとこれが多い)、頼りとなるのが相手の声だけの場合、ネットで顔やその人間の業界関係の動きを把握しておくと気持ちのゆとりはずいぶんと違う。

まとめるとLinkedInのメリットは次の通り。

1. ビジネスネットワークの整理
2. 自身の公(ビジネス面)のプロフィールを整理して公開出来る、リコメンデーションも利用可能
3. 情報収集。取引先の企業はもちろん、担当者についても情報が掲載されている可能性がある。

長くなってきたので今回はここまで。時間があればヘッドハンターを使う場合と直接、企業とやり取りをする際の違いなどについても述べるつもりだ。

2012年12月6日木曜日

転職の話 - 其の一、ヘッドハンター編

2012年11月末をもって15年勤めた日系の会社を退職、12月より新しく外資系の会社で働く事となった。今の世の中、転職がどの程度一般的なのか分からないが、備忘録を兼ねてここに記す。最初はヘッドハンターについて。

私が初めて転職の事を考えたのは2008年、10年のNY滞在を経て青天の霹靂で帰任を命じられた時だった。会社のロジックはしっかりしていたが生活が充実しており、色々と納得がいかなかったと言うのが理由。知り合いの人材派遣会社に相談し、英語のレジュメを作製、活動をしたが実らなかった。労働ビザで働いてたのが大きいのではと思う。

前職の場合、元々、海外畑で働いた人間の転職率は高いのだが、帰国後、次のきっかけとなったのはロンドン事務所で働いていた少し年上の元同僚が大手外資に転職した事だった。2011年始めの事である。個人的には10年の海外勤務を終えて帰任する事はそれ自体、異国の地に転職する事と似た感覚だったが、幸い居心地も悪くなく、仕事も面白かったのですぐに転職を考える事も無く数年が経っていた。その頃、直属の上司もヘッドハンターからコンタクトを受けており、自分の中で彼等に出来る事なら自分にも出来るのではと思った事も大きい。

私の転職活動は時間で言うと約1年半。長い方だと思う。何でも良いから転職と言うスタンスではなかったので活動が賑やかな時期もあれば何も無い時期もあった。主な活動方法は転職サイトへのレジュメ登録。無料サイトでは[en]転職コンサルタント 、有料サイトではビズリーチなどを使った。会ったヘッドハンターの数は10以上、20未満と言った所。全て先方からのアポ依頼による。親身になって色々と相談、案件を紹介してくれた所もあれば、先方からのアポ依頼で会ったにも関わらず15分程度で面談終了と言うケースもあった。ヘッドハンターからすれば候補者判断は商品価値判断なのでその感覚は分からなくもない。企業の求人案件をチェックし、適切な人材を探して紹介するのは大変な仕事だろう。会ったエグゼキュティブサーチ企業規模はワンマンレベルから大企業まで様々だが、多才なスキルを要求されるなかなか厳しいビジネスであろうと言う事はよく分かった。初めての時はヘッドハンターからコンタクトがあるだけで選ばれたかのようなドキドキ感があるかもしれないが、突き詰めれば、自分と言う商品を生で見て値踏みをしたい営業職の人間がコンタクトしてくるだけと達観すれば変な期待を抱かなくても済む。それは相手の会社で会おうが、ホテルのバーで会おうが同じ事。

私の場合はレジュメは日本語と英語の両方で用意した。レジュメをまとめる事とヘッドハンターと会う事のメリットは思いつく範囲だと次だろうか。

1. 自分のキャリアを客観的に捉える事が出来る
2. 自分の市場価値について客観的な意見を得る事が出来る
3. 商品としての自分をどうプレゼンすれば良いのか研鑽する事が出来る
4. 自分の強み、弱みを把握、その上で自分が何がしたいのか、転職するに当たって優先順位は何なのかを自覚出来る

後は気に入る案件があれば応募するのみ、そして面談である。私の場合は最初にコンタクトのあったヘッドハンターがレジュメの修正箇所の指摘の他、面談前の模擬までやってくれたのが大きかった。その時の大手外資案件は最終面談まで行ったものの実らなかったが、その約1年後に再びコンタクトされ受けた企業ではオファーをもらう事が出来た。私の転職先はそこでは無いが、オファーの段階まで進むとヘッドハンターのアドバイスも退職に当たっての身の振り方にまで及び非常に勉強になる。

言うまでも無く、結構な数の企業で落ちた。書類選考はほとんどパス、1次、2次で落ちたのが多い。最終面談まで行った企業も数社。落ちた理由については詳細を教えてくれるヘッドハンターもいれば、曖昧なヘッドハンターもいる。落ちた事についてこちらから問い合わせて初めて連絡してくる所もあったが、これは例外的に対応が悪いのだろうと思いたい。いずれにせよ見送りになると気落ちするが(特に最終面談まで行ったりすると)、自分のスキルが先方の求めている役職に合わなかっただけの話で人格が否定されている訳では無い、don't take it personal。

そんな訳でまとめると、

1. レジュメ(職務履歴書)は転職意思の有無に関わらずまとめておくのが吉
2. ヘッドハンターとのアポは気張らず、人生経験の一環としてこなすのが吉

次回はビジネスSNS、LinkedInについて。


2012年12月4日火曜日

007 Skyfall

ジェームズ・ボンドの映画、初めて観たのはテレビ放送のショーン・コネリーの「ゴールドフィンガー」だったろうか。映画館で初めて観たのは中学生時代、ロジャー・ムーアの「美しき獲物たち」だった。それ以来、ティモシー・ダルトン、ピアーズ・ブロスナン、ダニエル・クレイグと007を演じる役者は変われど映画館で観てきた。それぞれの作品がその当時の自分の記憶と重なっていて面白い。

そして50周年記念の作品「スカイフォール」。その昔、父親が学生時代に「ロシアより愛をこめて」を映画館で観た話を聞いた時はピンと来なかったが、自分にも子供が出来るといずれは子供と映画館で観る日も来るのではと思わずにはいられない。


今回は既に2度観ている。初回は2週間前のアメリカ出張の際、ニューヨークで。平日朝の9時40分のIMAXの会を堪能した。観客数は20名程度だったろうか。2度目は日本での区会初日。映画の日と言う事もあり大変な混雑ぶりだった。嫁さんが初回を観に行き、私は嫁さんにチケットを買ってもらって午後の回を。小さい子供がいるとなかなか夫婦揃ってとはいかない。

方々で書かれている事なので私から特にコメントする事は無いが、ダニエル・クレイグボンドの特徴は今の時代に合わせたリブートだろう。今回はまさに古いボンドと新しいボンドの見事なミックスぶりだった。新しいシリーズでありながら過去のシリーズに繋がるとでも言うべきか。堪能した。冒頭のアクションシーンで鳥肌が立つような感動を与えてくれる作品なんてそうそう無い。2度目でもそれは変わらなかった。Qとのやり取りなど、予備知識が無くても普通に面白いが、過去の作品を知っていれば更に面白い。アストンマーティンはその最たるものだろう。

個人的に日米での鑑賞比較をすると観客のノリだろう。NYで観た時は少数だったにも関わらず私を含めて映画の某シーンなどで、「それか!」、みたいな感じで観客が盛り上がるのに対し、日本の映画館はとにかく静か。声を出して笑うのがためらわれるぐらいである。後は鑑賞後、映画の雰囲気に浸って映画館を出てくるのは良い映画のお約束だが、NYにいる時の方が自分自身の表情を含め「なりきり感」が強かった気がする。そのまま映画の世界がスクリーンの外に広がっている感じとでも言おうか。これは街の持つ空気の違いかもしれない。

いずれにせよお勧め

次回作かその次ぐらいは子供と行くのだろうかと思うと妙な感じです